アイルランドの古代文献『アーマーの書』には「アイルランドの異教の神々トゥアハ・デ・ダナンがもはや敬われず、供物も捧げられなくなって、人々の想像の中で次第に小さくなったのが妖精だ」と書かれています。キリスト教が入るとこれらの神々は悪魔として駆逐されましたが、アイルランドで最も妖精が豊富なのは、紀元432年にアイルランドにキリスト教をもたらした聖パトリックが少年時代に奴隷としてアイルランドに売られた経験があり、豊穣の神として妖精達を信仰している農民達をよく理解し、妖精達を邪教の神々として追い払わなかったからです。
また、長い間邪悪な存在として恐ろしがられていた妖精達超自然の生き物に文学の上で美しい容姿と親しみやすい性質として描写し、舞台という民衆の目の触れる場所に連れ出したのはシェイクスピアであり、中でも「真夏の夜の夢」のオヴェロンとタイターニアはあまりにも有名。その影響を受けた作家達が、特に童話の領域で様々に特色のある妖精を作り上げ、ディズニー映画や「ファイナル・ファンタジー」などに代表されるゲームの世界に受け継がれています。
また、日本の文化であるマンガの世界でも、妖精はなくてはならない存在となっており、中山星香の『妖精国の騎士』古代アイルランドを舞台にしたあしべゆうほの『クリスタル・ドラゴン』、ボルヘスの『幻獣辞典』の妖精達が多数登場する山岸涼子の『妖精王』などが有名です。
ここでは、代表的な妖精について少し記述してみました。妖精の種類は少しずつ増やしていきたいと思います。
★ブラウニー
★シルキー
ブラウニーの女性版とも言える妖精。家事全般が得意。暖炉を焚いたり、こまごまとした用事を手際よく片付ける。
動くと絹(Silk)のドレスがさらさらと音を立てることからこの名がつけられた。白い絹のドレスを着た女性の姿をしている。家にいつく妖精なので、住人の性格によって大きく異なってくる。敬意をもって接すれば、それに応じてシルキーは真面目に働く。
★バンシー
死を嘆き悲しむ女性の姿をした妖精。「女」を意味するバン(bean)と「妖精」を意味するシーからつけられた。「妖精の女」という意味。基本的にこれから起こる死を伝えるだけであり、それ以上人間に関与しようとしない。
★レプラホーン
アイルランドの妖精の代名詞にもなっている妖精で、赤い帽子を被った妖精の靴屋。
名前の由来には二説ある。一つはアイルランドの古語で「小人」をさすラホルパン(luchorpan)が変化したというもの。今一つの説は「片方の粗い革の靴」をさすレ・ブローグ(leith brog)からきているというもの。基本的に老人の姿をした男の小人の姿をしていて、明るい性格で、悪戯好きであり、基本的に人間に害をなさい。アイルランド全域に生息し、一人で暮らすソリタリー・フェアリーである。野外に生息する事もあるブラウニーと違って、レプラホーンは特定の家に住み着く完全はハウススピリットであると言える。
職業として、妖精専用の靴を作っている。踊り好きの妖精達はすぐに靴をすり減らしてしまうので、商売は繁盛しているようだ。おかげで結構お金持ちで、貯めた金を野外に隠して埋めていたりする。
なお、アイルランドには「Leprahoun is crossing」(妖精通ります)という標識がかかっている。
★シルフ
4大精霊の一つ、大気の精霊。シェフィールドともいう。ラテン語で「森」を意味するシルヴァ(sylva)とニンフ(nymphe)の合成語と言われる。シェフィールドは、シルフという名詞の女性形である。
通常は美しい女性の姿をしており、衣服はつけないが、薄い透き通った服をつけている。透明、あるいは半透明の姿で描かれる事が多い。基本的に人間に対して攻撃的ではないが、風にイメージされる性格に描かれることが多く、気まぐれで自由奔放な性格のようである。時にそよ風のように優しく、時に嵐のように荒々しくもある。
★マーメイド
誰もが知っているあまりにも有名ないわゆる人魚で海や水の中に住む妖精を指す。
アイルランド語でメロウといい、「海の乙女」を意味する。マーメイドは概して腰から上は美しい乙女の姿をし、下半身には魚の尾をつけている。髪は金髪で、岩の上を手鏡を見ながら髪を梳いている姿が有名。デンマークのコペンハーゲンにはアンデルセンの「人魚姫」の像がある。アイルランドのメロウは顔も身体も緑色をしているという。基本的には、人を誘惑して海に引き込む魔性の性格である。
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★ドラゴン ファンタジーでお馴染みのモンスターの代表格だが、西洋のドラゴンには原則として「竜」が東洋のドラゴンには「龍」の文字が当てられる。また、一般的に翼竜は「竜」、蛇型のものは「龍」があてられる。 人間の想像力は世界共通なのだろうか、アジアでもヨーロッパでも昔から様々な文献に登場し、紀元前4000年前には既に絵の世界の中に現われる。日本などアジアでは龍は神として、畏怖の対象であると同時に崇められてきたが、キリスト教では悪の象徴として考えられ、物語にもそれが繁栄されている。外見が「蛇」に類似することから、アダムとイブを堕落させて追放した張本人である蛇と同一視し、ドラゴンは常に倒すべき敵として描かれてきた。中世キリスト教では、必ずと言っていいほど、民衆を苦しめる「悪の手先」たるドラゴンを退治する人物が出現し、竜を退治すると「聖人」として崇められることになった。その中でも有名な伝承が「聖ジョージのドラゴン退治」であるが、実は彼がどんな人物だったかということははっきりわかっておらず、ほとんどアーサー王伝説同様伝承物語の域に入るだろう。 ウェールズの旗は赤いドラゴンがシンボルとなっている。ローマ商人が東洋から持ち込んだとされているが、その頃にはすっかりローマ化されて自分達を勇敢なローマの戦士だと考えたウェールズ人が戦場で旗印で使い始めたというのが有力な説だが、なぜ、赤いドラゴンかというとその昔ソノードニアで地震が起こり、アーサー王の物語の中に登場する魔法使いのマーリンが「地震が起こるのは地下で赤白二匹の竜が格闘をしているからだ」と告げた。 二匹のドラゴンはやがて地上に出て、激しい格闘の末、赤が白を駆逐した。この時、マーリンは白いドラゴンはイングランドを表し、赤いドラゴンはウェールズを表す、サクソン人とウェールズ人の間に何世紀も続く事になる紛争の象徴であると語った。それ以後、赤いドラゴンはウェールズ人のシンボルとなり、1959年、この旗はエリザベス女王によって正式にウェールズの旗に制定された。 映画ではショーン・コネリーがドラゴンの声を担当して話題になった『ドラゴン・ハート』、最近では現代の英国に突如として古代のドラゴンが復活して人類を襲うといった『サラマンダー』がある。 |
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