ライン川下り

ライン川下りは電車でマインツまで出てそこから船に乗るつもりだったが、 ホテルに日本語でも表記されたツァーのパンフがあり、一万円弱だったのでこれを 利用する事にした。他にも色んな会社がツァーを出しているので観光局で尋ねてみるのも よいだろう。
朝9:00に近くの旅行会社のオフィスに集合。日本語版のツァーもあるそうだが、 今回は日本人が集まらなくて英語のみのツァーに参加する事になった。 ツァーは40人程だが、日本人は私たちを含めて6人。 まずアウトバーンに乗ってライン川下りスタート拠点、マインツへ。 10分も走るとフランクフルトの飛行場が見えて来る。海に飛行場を作らなければ ならない日本の土地事情に比べるとこの広さ、ゆとりは何とも羨ましい限り。 ガイドさんが英語で色々と説明してくれるが、スペイン人、イタリア人とおぼしき人達の 方が耳が良いらしく、ガイドさんのジョークに反応して笑っているのが聞き取りが苦手な 日本人には何とも悔しい。日本人は舌を巻くような早口の英語を学ぶよりメリハリの効いた はっきりとした発音のドイツ語を学んだ方がいいのではないだろうか。

バスはマイン川に沿って走り、1時間程でマインツに到着。そこで10人程のツァー参加者を PICKUPする。そこからさらにリューデスハイムに向かうわけだが、 船はここから乗る事になっている。昼食付きだが、ベルリンの時と違って非常に手際が良く、 30分程で食事を終える事ができたが、それでもわずか1時間半程の自由時間ではそれも勿体 無い位だ。食事時間よりも街の見物に時間をかけたいと思っている私には立ち食いソーセ ージかファーストフードで充分なのだ。 夜はともかく観光中に食事に貴重な時間費やすのはもったいない気がしてならないと感じる のは私が貧乏性だからだろうか。
リューデスハイムは、丁度10年前の1988年、私が初めてヨーロッパ自由旅行をした時に 訪れた事がある。ここは有名なワインの産地で船から眺めると緩やかな傾斜地に葡萄畑が 広がり、その川岸には可愛らしいリューデスハイムの街がパノラマの様に展開している。 川岸には多くのレストランやホテル、土産物屋が軒を連ねているが、一番の見所は 何といってもドロッセル通り。日本で言えばさしずめ居酒屋通りとでもいうのだろうか、 多くの居酒屋が立ち並んでいて産地のワインを手軽な価格で楽しめる。 リューデスハイムは日本人団体客が必ず立ち寄る街なのでかなり観光ズレしているが、 一見の価値のある場所ではある。

13:00、船が出発。ケルンまで行く高速船もあるが、大抵は遊覧船でコブレンツまで5時間の行程 である。ツァーは大抵ザンクト・ゴアルスハウゼンで降り、そこからバスでフランクフルトまで 戻る事になっている。 船に乗っている時間はおよそ2時間程で気の短い日本人や忙しい観光客にはこれ位が丁度良い のかも知れない。観光客は、ローレライを見た途端、船から眺める景色に興味を失って しまうというのが常らしい。本来5時間位かけて食事でもしながらゆったりと船の旅を楽しむのが ヨーロッパ風とでも言うのだろうが、時間のない観光客はなかなかそういう旅には縁がない。 とにかくこの日は暑くて最上階の吹き抜けにはおられず、まず下のレストランに行く事にした。 冷たい飲物などを飲みながらガイドブックを広げ、ガラス越しに川岸に点在する城を眺めるが レストランからは見えにくいので30分もせぬうちに外に出る事にした。 それでも暑くてずっといるわけにはいかないのでどうしても見たいお城の前を通る時や写真を 撮る時だけ外に出る事にした。城塞はどれも似たりよったりで、船が寄港する可愛い街を 見ている方が楽しかったりする。しかし、川岸にこれだけ多くの城が建てられている川は世界でも 類を見ないだろう。個人的にはカウプの川中島にある税関城がユニークで面白いと思った。

ちなみにこの周辺の建物には歴史あるものが多く、古いものでは650年経っているものもあるという。 イギリスでは築100年以内は新築に等しく、千年前の家に平気で住んでいる辺り、30年経てば建て替え という住宅事情の日本人から見ると果てしなく羨ましい環境だと言えるだろう。


船がローレライのそばを通るとあの有名な「ローレライ」の曲がかかるわけだが、母もそばの アメリカ人と思しき中年女性もその曲を口ずさむのには笑える。ローレライとはほとんど垂直に 立ちはだかるただの岸壁であるが、川床には岩礁が横たわり、流れも急になるので機動力のなかった 昔の船にとっては恐怖の難所であった。自然現象が擬人化され、寓話として語り継がれるのは常であり、 船乗りはここへ来ると岩に立つ金髪の精霊の歌声に魅せられ、航行がおろそかになり岸壁に付き当って しまったというものである。ハイネが詩にした為、この岩は世界で最も知られる岩となったわけだが、 一度見たらもう一度来たいと思わせる景色でもなく、世界10大ガッカリ(ブリュッセルの小便小僧、 コペンハーゲンの人魚姫などと並んで)入るのではないだろうか。時間がない人は無理して見るほど のものでもない。他の観光地に行く方が良いだろう。 このただの岩を世界的観光名所にしたのはゲーテの詩だが、改めて作家が世間に及ぼす影響を思わず にはいられないのだった。

ローレライが終わると10分ほどしてザンクト・ゴアスハウゼンに到着。ここからバスに乗って ワイン蔵へ。ここではワインの試飲をさせてくれるのだが、小さなグラスに一杯などとケチな事は 言わずいくらでもお代わりできるのが嬉しい。フルーティなワインで口当たりが良く、いくら飲んでも 悪酔いせず、すっかり気に入ったので土産に買って帰りたかったのだが、やはり飛行機に持ち込む事を 考えて見合わせる。日本に直送できるかどうか聞けば良かったかな。 外は30度以上の真夏日だというのに岩をくり貫いて作られたワイン貯蔵庫の中はひんやりしていて 涼しい。常に15度に保たれているそうだ。

ワイン蔵で小一時間程過ごした後、バスはどこにも寄らず一路フランクフルトへ・・。 18:00帰宅の予定が、道が空いていたせいか17:30に着いてしまった。なんだかもったいない気がする。 他の所へ寄ってくれても良さそうなものだが、こちらの人は料金以上は決して働かない。
効率は良いがやはりツァーは慌ただしい。やはり少々面倒でも予定通りマインツまで電車で来て 船に乗れば良かったと少々後悔した一日だった。少々のハプニングが起こっても日が長いので 何とかなるのがありがたい。