Hadrian Wall - ハドリアヌスの長城

 ハドリアヌスの長城とは五賢帝の一人ハドリアヌスがブリテン・ローマとカレドニア(現スコットランド)とを明確に分断するために建てた壁である。
 領土を旅するのを好んだハドリアヌスは、領土をこれ以上拡大する必要はないと判断し、城壁の建設した。 あれほど田舎でありながら、観光の起点となる街カーライルやニュー・カッスルからは30分程度で行けてしまう。壁近くの小さな街には宿泊施設も充実しているし、観光に不自由しないのがありがたい。しかし、一旦ハドリアヌスの長城に行くと一気に2000年前のブリテンに引き戻されたような錯覚に陥ってしまう。 とにかく周囲に何もなくただっ広い平原が広がっているのだ。 今にも壁の向こうから古代ケルト人が攻め寄せてきそうだ。 非常に見晴らしが良く、確かに地の果てから敵が責めてきてもこれなら一目瞭然だ。ここがローマの北端だと思うと感慨深いものがあるが、向こう側のブリトン人にすれば先祖代々暮らしてきた土地を分断する邪魔な障害物でしかなかっただろう。
 しかし、近郊のヴィンドランダの町は結構立派な町で覇権主義を云々する以前にここにはローマ人とブリトン人、そして彼ら両方の血を引く人々が豊かで平和な生活を営んでいたのだということを実感した。北にしては珍しいほどの青空のもと、壁に沿ってはるか遠き古代ローマ・ブリテンに思いを馳せながら歩くのは最高の気分だったが、いきなり、上空で戦闘機がものすごい轟音を立てて幾度も飛びだっていった。おそらく、近くに空軍基地でもあって訓練をしているのだろう。確かに訓練というものは何もないところで行われるものだが、古代の遺跡と最先端のハイテク機器とのコントラストが何とも不思議な気がした。








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