ナルニ
アッシジからどこに行こうかと思ってウンブリア地方の地図を見ていた時、週刊世界遺産の「アッシジとオルヴィエート」という本に少しだけ紹介されていたナルニを思い出し、ほとんど予備知識もなく行ってみた。
ナルニの駅で降り、そこからバスに乗ってほぼ30分、丘の上の街に着くのはアッシジと同じだが、街の規模ははるかに小さい。昼頃に着いたのでツーリスト・インフォメーションは閉まっていて仕方なく自分でホテルを探し始める。何、一応観光地だからホテルの一軒や二軒すぐに見つかるだろうとしばらく歩いても、それらしき建物が全く見当たらない。
後で知った事だが、アッシジのような世界的に有名な観光地ならともかく、ウンブリアやトスカーナの丘の上にひっそりとたたずむ小さな街には宿泊施設は少なく、ふもとの駅周辺に集中している事が多い。
荷物を持ってうろうろしている様子が憐れさをもよおしたのか、近くの人が「ホテルを探しているのか」と聞いてきて、「そうだ」と言うと街に一軒しかないホテルに連れて行ってくれた。そのホテルは入り口が路地に入ったわかりにくいところにあり、見つけられなくても無理はないと思った。三ツ星だが、田舎ではローマの一つ星の値段で泊まる事ができる。
このホテルのフロントの人は英語が使えたが、外国人があまり行かない街のホテルの従業員はイタリア語しかできない事が多いので、基本的なイタリア語を覚えていくのが無難だろう。私は常にイタリア語の電子辞書を持ち歩き、いざと言うときにはそれを相手に見せていた。
チェックアウトを終えると早速街に出てみる。シーズン・オフということもあって観光客もまばらで、立ち話をしている住人だけが目につく。
街の裏側には険しい山の絶景が目の前に展開し、格好のビュー・ポイントになっている。
ここで偶然ホームステイしているという日本人の女の子と出会った。彼女が言うにはここは何もないところなので勉強には最適だと言う。
歴史のある落ち着いたたたずまいはアッシジを小さくしたような感じだが、世界中から巡礼者や観光客が集まり、土産物店だらけのアッシジに比べるとより生活に密着しているといった印象を与える。上記の彼女によるとお世話になっている家のマダムは町中の人ほとんどと知り合いらしい。日本人が珍しいのかどこに行っても見られるが、その視線はどこか優しく温かい。私はこの街がたちまち好きになってしまった。
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