サン・ジミニャーノ


中世から19世紀にかけて、トスカーナには個性豊かな城塞都市が数多く建設され、それぞれが独自の文化を育み、発展していった。
伝説によると権力争いに敗れた兄弟のムツィオと共にローマから逃れたシルヴィオという若者が丘にとどまって、"カステッロ デッラ セルヴィア"(森の城)を築いたのがこの街の始まりだと言われている。しかし、この街を大きく発展させたのは町の中心地へと導くフランチェジナ道の存在を無視できない。 ローマとフランスを繋ぐこの道は商人や旅人の行き来が盛んとなり、街を活性化していった。 交易で富を蓄えた貴族達はやがて競って富と権力を現すシンボルを築き始めた。それが今も町に残る塔であり、最盛期にはそれは70を超えた。最初は、外的の攻撃に備える為といった防衛上の意味があったが、いつの間にか貴族が力の誇示のための高さを競うものとなっていったという。 中世の面影をよく残していてイタリアの偉大な監督フランコ・ゼフィレッリはこの街をアッシジに見立てて『ブラザー・サン・シスター・ムーン』を撮影した。
長い昏睡状態から目覚めたフランチェスコが鳥を追いかけて屋根を歩くシーンでは、この塔が映し出されている。青空の中を羽ばたく鳥と高くそびえる塔とのコントラストには目を見張らずにはいられなかった。 サン・ジミニャーノは不便な場所にあり、フィレンツェからバスでポッジポジという街まで出て、そこからサン・ジミニャーノ行きのバスに乗り換えなければならない。 乗り換えのバス亭がわかるかどうか不安だったが、同じ目的地に向かう人が大勢いるので心配はなかった。 そこからサン・ジャミニャーノに向かうバスからの眺めの美しさには溜息が出てしまう。オリーブとぶどう畑に覆われた緩やかな丘稜の所々にトスカーナ独特の糸杉が自生しているのが目につく。その風景の中に突如として不揃いな塔が空に向かってそびえるその街が姿を現わすその情景はとてつもなく印象的で、その感動はとても言葉では語り尽くせない。